2011.08.06

アメリカのフードパントリー - 世界のフードバンクをご紹介 (2)

2HJボランティアコーディネーターの高原恵がアメリカでのフードバンク研修に行きました。レポート第二弾は、アメリカのフードパントリー(支援が必要な個人や家庭に食品提供するグループ)についてです。

2週間のアメリカフードバンク研修に行きました!

フードバンクの歴史が40年以上ある、フードバンク大国アメリカへ研修に行きました。2011年2月27日から3月13日の間で、テキサス州サンアントニオ、アリゾナ州のフィネックス、カリフォルニア州サンフランシスコのフードバンクを訪れました。テキサス州ではフードバンクの研修に参加し、アリゾナ州とカリフォルニア州では、主にボランティア活動やパントリーについて学びました。

レポート② アメリカのパントリー


テキサス州サンアントニオのパントリー
Global Food Banking Network (GFN) の研修中、テキサス州サンアントニオにある「Urban Connection」という団体のパントリーを見学しました。Urban Connectionは、キリスト教系の団体が「子ども、家庭、地域を健康的にする」ことを目的として設立したコミュニティーセンターです。住宅街の一角にあるセンターにはKids Cafe(軽食やお菓子が無償で提供される子供向けのカフェ)などがあり、子供向けのイベントなどを行っていますが、なかでも重要なプログラムがパントリーです。San Antonio Food Bankから届けられる食品を、一家庭分ずつに袋に分けて提供しています。提供日などの情報をカードで管理している点ではセカンドハーベスト・ジャパン (以下2HJ) のパントリーによく似ていました。

月曜日から金曜日まで開放していて誰でも立ち寄れるセンターで、食品の提供だけでなく、常勤スタッフが雇用や家庭内の問題など相談に乗ってくれます。Urban Connectionは名称の通り地域住民が孤立しないよう「つながり」を大切にしているセンターです。

サンアントニオフードバンクが食料支援しているテキサス州内地域の貧困率は20.5%、アメリカで二番目にフードセキュリティーを欠く人口が多い州でもあります。OECD加盟国で最も貧困率が高いアメリカの中でも特に貧困が深刻なテキサス州では民間の福祉団体の果たす役割は非常に大きいと感じました。

2HJでは、独自にパントリー活動も行っていますが、Urban Connectionように地域に密着した福祉施設がパントリーの拠点になり、個人や家庭に提供することができたら、より効率的に多くの支援を必要としている方々を支援できます。

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Urban Connection   アメリカの典型的な一軒家がコミュニティーセンターになっています


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食品貯蔵庫  缶詰など、扱っている食品は2HJのパントリーとほぼ同じです


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パントリーの食品  一袋が一家族分の食品です

 

 

アリゾナ州フェニックスのパントリー
サンアントニオでの研修後、アリゾナのフェニックスにある世界で最初のフードバンクSt. Mary’s Food Bankへ飛びました。年間3万トン以上の食品取扱量を誇るフードバンクで、3千坪以上ある巨大な倉庫の別館にはKnight Transportation Community Services Center (以下Knight Center) という、こちらもまた巨大なパントリー施設があります。食料援助が必要な人は一家庭につき基本的に月に一度食品を得ることができます。月曜日から金曜日9:00〜16:00まで営業しているので、個人の都合に合わせて取りに行く事ができます。食品の量が多いのでほとんどの人は車で来ていました。Knight Center の良い点は、提供人数が多いにも関わらず、混乱が無くスムーズに運営されているところです。一見、銀行の受付とも思えるロビーの中央には椅子が並べられ、奥には受付デスクがあります。入り口で番号が割り当てられ、番号を呼ばれると受付デスクに進みます。初回の人は住所が記載されている身分証明書を提示すると誰でもその場で登録ができ食品が得ることができます。住所や家族の人数など個人情報と取りに来た履歴が全てデータベースに入力されます。なかにはシェルターに住んでいる方もいるので、ケースワーカーが代理で引き取りに来ている場合もありました。受付を終えると、同居家族の人数に合わせた量の食品が手渡されます。

私は Knight Center で半日受付ボランティアを体験させていただきました。全くの初心者である私に Knight Center の担当者の Mina さんは親切に手順を教えてくれました。クライアントは、営業開始から途切れる事無く来ます。そしてある一人の女性が、私の受付デスクに来ました。彼女は初回だったので必要な手続きをしている間、少し話をしました。緊張していて、直接食料援助を受けることに対して、自分のプライドと葛藤があるように見えましたが、少しずつ自分が置かれている状況を話始めました。その女性は元バスドライバーで、数ヶ月前に職を失い、貯金を崩しながら厳しい生活をしていました。アメリカでは Food Stamp (低所得者を対象に行われている食料費補助対策の一つで、食品が購入できる商品券) を配布されますが、申請した結果、今まで社会保障に納めていた金額が、基準より3ドル超えていた為に Food Stamp が得られませんでした。困っていたところ知り合いから St. Mary’s Food Bank のパントリーについて聞きその時初めて来たそうです。「今後は月に一回来たら食品が得られます」と伝え、さらに Mina さんが「元トラックの運転手なら、一度履歴書を持って来てみたらどうですか。もしかしたらフードバンクで働けるかもしれないですよ」と言うと、私たちの目の前で涙を流し感謝していました。

その時、私はフードバンクがパントリー活動を行う本当の意味を知りました。パントリーは、家族構成によって食品の量に違いはあっても、必ず全員に提供します。St. Mary’s Food Bank の Chief Operations Officer の Norm さんは、「100人のうち数人は、支援の必要が無くても利用するかもしれない。ただ、他の本当に困っている人に必ず食べ物が行き届くべき」と言っていました。アメリカ政府はフードバンクと共同で、様々な食料援助プログラムを実施しています。例えば、高齢者向けのプログラムでは、月に一度、食品パッケージが得られるのは60歳以上、世帯数で決められた収入額を下回ることを条件とされています。同じように6歳未満の子ども向けのプログラムもあります。その条件から外れてしまった人の為に、政府のプログラムとは別に民間が行うパントリーがあるのです。

 

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Knight Centerの外観 ほとんどの人は車で食品を受け取りに来ています


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待ち合い室 まるで銀行の待合室です


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受付デスク ここで半日受付を体験させていただきました


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受付デスクの裏側 ボランティアが提供する食品を準備しています


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