2010.04.24
事務局長大竹正寛のアメリカフードバンク研修記(1)
2HJの事務局長大竹正寛です。2010年3月1日~3月5日の間、国際フードバンク団体、グローバル・フードバンキング・ネットワーク(GFN、Global Foodbanking Network)の研修に参加してきました。その模様を今回から二回に渡って写真付で報告します。
研修地は今回の研修のスポンサーであるHEBのサンアントニオ本社でした。HEBはテキサス州とメキシコに300以上のストアー展開をするスーパーマーケットです。まずそこで見たモバイルキッチン。
モバイルキッチンの見学
これがモバイルキッチン
これが車の中。まさに厨房そのものです
モバイルキッチンとは移動式厨房のこと。災害時などに被災地へ出向き直接被災者へ作りたての暖かい食事を提供します。提供能力は1時間に2,000食以上。
次に、地元のサン・アントニオ・フードバンクを見学しました。
サン・アントニオ・フードバンク(SAFB、San Antonio Food Bank)は全米に200以上あるフードバンク団体の中から、2007年に「フードバンク・オブ・ザ・イヤー」に選ばれただけのことはあってその規模やシステムは圧巻。2009年にはおよそ3,600万パウンド(約16,300トン) の食料が寄付され、約450施設へ再分配しています。SAFBからの寄付により施設側は5,680万ドル (約50億円) 相当の食費をセーブすることができたとの報告があります。アメリカではそもそも4,900万人がフードセキュリティーを欠いていると推測されています(そのうち1,700万人が子供で500万人が高齢者)。その中でも今回のGFNの会場でもあるテキサス州は全米で2番目にフードセキュリティーを欠いた人の割合が高い州になります。
個人的にSAFBの数あるプログラムの中で特に興味を持ったものはコミュニティー・キッチンとバックパック・プログラムです。
コミュニティー・キッチンとは経済的に恵まれない人たちへ自立するための職業技術訓練(フードサービスのスキル)を提供する場のことです。日本で言う職業訓練所に近いイメージかと思います。貧困から抜け出せない理由の一つにスキル不足が挙げられます。ここでは、フードサービスのトレーニングを16週間受けた後、各自が仕事を見つけて自立していく流れになります。訓練後の就職率はなんと9割以上だと担当者の方が誇らしげに語っていました。
コミュニティー・キッチンでの作業風景
ここで作れられた食事は地域の貧困者に届けられるため効率性の高いプログラムと言えます
もう1つのプログラムが、バックパック・プログラムになります。
このプログラムはSAFBと地域の学校が連携して、家庭の経済的な事情により週末や休日に十分な食事を取ることのできない子供たちを対象に、下校の際にこっそりと栄養のある食べ物を渡す(バックパックに詰める)取り組みです。1,700万人いると推計されるフードセキュリティーを欠いた子供たちへの支援のためにSAFBのみならず全米中のフードバンク団体がこのユニークで心温まるプログラムを実施しています。
子供たちへ手渡される食べ物の一部
後編では、GFNの様々な取り組みについて紹介したいと思います。
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アメリカフードバンク事情 第一回:Farm to Family(“畑から家庭へ”)
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2010.04.11
アメリカフードバンク事情
第一回:Farm to Family(“畑から家庭へ”)
フードバンクの本場アメリカにおける食料支援周辺の事情を連載でご紹介していきます。第一回目は、農産物を積極的に活用するカリフォルニアのフードバンクの事例をご紹介します。
カリフォルニアのフードバンクが連帯して、農家からの新鮮な野菜や果物を安定的に供給するシステムを構築しています。この連帯は、カリフォルニアフードバンク連盟(CAFB, California Association of Food Banks) と呼ばれ、都市部など担当地域に農家が少ないフードバンクなどにも安定的に野菜・果物を提供できるようにしています。
CAFBでは、2009年の農産品の総配布量を約36,000トンと見積もっています。(写真提供:CAFB)
このプログラムがスタートした背景としては、食品価格の高騰、失業率の増加があり、また同時にこれまでに缶詰やシリアルなどの加工食品を提供してくれていた食品メーカーが、サプライ・チェーン・マネジメントの一定の成果により、余剰になる食品が減り、結果としてフードバンクに対する食品寄贈も減ってきたというのがあります。フードバンクが提供できる食品の量と実際にワーキングプア世帯などに必要とされる食品の量の間の格差が広がり、それではと、全米各地のフードバンクで農家から多めに生産されたために市場性を失った野菜や果物を寄付してもらおうという動きが高まりました。そうした流れから、カリフォルニアでは農産品が非常に豊かに生産されているにも関わらず貧困層に充分にそうした食品が渡っていないことに着目して、2006年にCAFBがFarm to Family プログラム(“畑から家庭へ”プログラム)を始めました。
大まかな流れとしては、複数の農家において市場性のない農産物を収穫し(収穫にかかる人件費はフードバンクで負担する場合と農家が負担する場合がある)、包装工場にて仕分けされます。仕分けされたものは通常農家から寄贈としてフードバンクに提供されるか、キロあたり数円程度の格安で提供されます。農家もフードバンクを通じて生活が苦しい層を助けることに喜びを感じています。生産農家Van Groningen & Sons, Inc.のダン・バン・グロニンゲンさんは、収穫せずに畑に残した農産品のことを考えます。Farm to Familyプログラムがあるおかげで、「今はそうした農産品にも行くべき家があるので、収穫できます。支援を必要とする家庭にこうした食品が届けられるというのはうれしいものです。」¹
Farm to Family プログラムでは、週にトラック約50台分の農産物がカリフォルニア各地のフードバンクに届きます。トラックでは、巨大な容器にいれて運搬され、フードバンク倉庫にてボランティアがそれらを袋に仕分けし、パントリー、炊き出しなどに配送されていきます。仕組みは一見シンプルですが、このプログラムは多くの人の参加がなくては成り立ちません。Farm to Family プログラムの創始者でサンフランシスコ・フードバンクの理事でもあるゲイリー・マックスワージーさんは、生鮮野菜を配給するプログラムに必要な条件として、「冷蔵スペース、また食品を仕分けするボランティアも必要です。さらに(引き取ってから)2、3日以内に配送できる能力もなければいけません」と言います。
CAFBの積極的な活動により、サンフランシスコ・フードバンクでは、取り扱い食料の約60パーセントが、アラミダ・カウンティー・コミュニティー・フードバンクでは、約50パーセントが野菜・果物となりました。5年前には、野菜・果物の占める割合は10パーセント以下だったことを考えると、驚くべき変化です。

生鮮野菜や果物はこのようなパントリーで手渡されます。また、健康的な食生活に関するリーフレットも配布されています。(写真提供:CAFB)
アメリカでは貧困地域の貧しい食生活が、高い肥満率につながっていると言われています 。² そしてそれは、小さな子供たちにも及んでいます。このプログラムは、家計の苦しい家庭を経済的に助けるだけでなく、個人の健康面でも、栄養価の高い野菜や果物をきちんと食べられるようにする、という意味合いがあるのだと強く感じました。ロサンゼルス・リージョナル・フードバンクの事務局長マイケル・フラッドさんは、このプログラムは栄養価の高い食品をクライアントに届ける点で重要だと言います。クライアントは、「こうした食品へのアクセスが無い、もしくは食費にかける予算が充分なく手が出せない」のです。配給センターでインタビューを受けた女性のコメント「(このプログラムのおかげで)子供たちに健康的な食べ物をもっとあげられます」
全米フードバンクのネットワーク組織Feeding Americaの理事長であるビッキー・エスカラさんは、「充分に配給されていない生鮮品がほぼ無限に存在する」と述べ、画期的なソリューションとしてのFarm to Family プログラムを賞賛します。³
日本の2HJにとって、農産品についてCAFBのような広範なネットワークはこれから先のことですが、このFarm to Family プログラムの存在が将来こうしたシステムを構築しようと思わせてくれます。
ご意見・ご感想をお寄せください。info@2hj.org にメールを送ってください。また、2HJの最新情報についてTwitterの2HJのアカウント(@2ndharvestjapan)もチェックしてください。
参考
¹ インタビューの引用は、特定されている場合以外は、CAFBのウェブサイトのビデオからです
² American Journal of Clinical Nutrition, Vol. 79, No. 1, 6-16, January 2004
³ The New York Times, California’s Food Banks Go Locavore
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2010.04.05
フードバンク活動は、今年で10周年を迎えます

イベントの報告はこちらをご覧ください!
日本でフードバンク活動を始めようと、有志が集まったのが2000年のことです。10年が経った今、国内では年間500万トンから900万トンの食品がまだ食べられるにも関わらず廃棄されていると言われ、同時に日常生活において充分な食事を確保できない人たちは65万人以上存在します。私たちの活動はこれからさらに必要とされていきます。
しかしこれまでの10年を振り返えると、本当に多くの皆さまに支えていただいてここまで来れたという思いでいっぱいです。ボランティア、寄付をくださる方、支援企業の皆さま、その他多くの皆さまに支えていただき私たちの今があります。あらためて心から感謝申し上げます。
10年目を迎えるにあたって、セカンドハーベスト・ジャパンでは、これまで支えてくださった多くの方たちへの感謝を示しつつ2つのイベントを催します。是非皆さま、ご都合の許す限りご参加ください!
1)10周年記念パーティー 4月21日
これまでの10年を振り返り、これまで支えてくださった皆さまに感謝するとともに、これからの10年のビジョンについて理事長及び新運営陣の方から皆さまにお話します。普段ゆっくりお話できない方もこの機会にスタッフや支援者、ボランティアの方たちと交流を深めていただければと思います。詳しくは、こちらをご覧ください。
2)チャリティーコンサート 4月24日
10周年記念のチャリティーコンサートと同時にお米の持ち寄り会も行います。コンサートに行くだけでなく、お米の寄付を通じて多くの方を支援してはいかがでしょうか。詳しくは、こちらをご覧ください。
各イベント当日は、是非、皆さまにお会いできるのをスタッフ一同心より楽しみにしています。
2010.03.17
チャールズ・マクジルトンの米国転居に関するお知らせ
日頃から、セカンドハーベスト・ジャパン(2HJ)に温かいご支援をいただきまして皆さまには心より感謝申し上げます。さて、この度2HJ理事長のチャールズ・マクジルトンが私事により2010年10月に米国に移転することになりました。
マクジルトンは理事長としての立場には残り、組織の運営方針などに今後も継続的に関わっていきますが、国内での日常業務の運営については新事務局長大竹正寛をはじめとした運営陣が中心となって執り行って参ります。
今後の体制移行につきましては新運営陣およびスタッフ一同が円滑に進めるとともに、引き続き全力で業務にのぞんで参りますので、今後ともご支援・ご指導のほどをどうぞよろしくお願いいたします。
セカンドハーベスト・ジャパン
役職員一同
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新事務局長が誕生しました!
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2010.03.13
新事務局長が誕生しました!
セカンドハーベスト・ジャパン(2HJ)では、渉外・配送スタッフの大竹正寛をこの度、新事務局長に選任しました!新事務局長として、これからの2HJの中で大事な役割を担っていく大竹に、抱負を語ってもらいました。

中央が新事務局長大竹。国際フードバンク研修会にて。
事務局長就任が決まってどう感じていますか?
「まだ全然実感ないです(笑)。当分は実質的な業務も変わらないですし。」
そうですか。では、現在はどんな仕事が中心になっていますか?
「食品の引き取り、配送、食品企業との交渉がメインですね。去年だけでも、2HJが新規に食品提供の同意書を取り交わした企業は88社になります。一日一件は問い合わせが来ていますし。
それ以外には、中学校や高校などに出向いて生徒に2HJやフードバンクの活動について話をしたりします。また、Eco Products などのイベントへの出展も担当していて、フードバンクに対する認知度を上げるために努力しています。」
やはり認知度の向上が重要ですか?
「食品企業に限らず、一般の人たちの間でのフードバンクの認知度も大事だと思いますし、食品企業などにも、プロセスを知ってもらって、理解してもらって、賛同してもらって、共感してもらえば、より良い食品提供に結びつくと思うんです。そのためには、イベントやメディアを通じた情報発信が大事だと思います。」
認知向上の結果として、どういったことを期待していますか?
「5年後、10年後に各都道府県にフードバンクがある、というのが理想だと思います。でも今は、地域によってまだフードバンクに対する認知度にばらつきがある。各地域でフードバンク活動をやりたいという人は潜在的にいると思います。そうした人たちが活動しやすいように地元の認知を上げていく必要あると思うんです。
それと平行して、全国規模の食品企業から食品の提供を受けるための仕組みも大事です。地域によっては提供がない種類の食品をネットワークを通じてフードバンク同士が提供できるような補完的な関係をつくることが大事だと。そこに、フードバンクの全国ネットワークの必要性があると感じています。」
ボランティアや寄付をくれている方たちへの一言を
「無償で多くのものを提供していただいていて、本当に感謝でしかないです。2HJは2HJだけで動いているわけではなくて、多くの方の期待を背負っているというか、責任を感じます。2HJが日本のフードバンクという舞台で果たす役割はすごく大きいと思うんですよ。そこを使命感をもってやらないといけないなと思っています。」
ありがとうございました。
新しい事務局長が就任し、2HJも変わっていきます。しかし、これからも「すべての人に食べ物を」という理念の下、もったいない食品を少しでも多く受け取り、必要とする人たちに少しでも多く届けるという目標は変わりません。アメリカで始まったフードバンク活動ですが、ものを大事にし「お互いさま」と他人を思いやる文化の中で日本のフードバンクがより大きく育つように多くの皆さまに2HJをこれからも温かくご支援いただければと思います。
大竹は、アメリカの国際フードバンク団体、グローバル・フードバンキング・ネットワーク(GFN)がテキサスのサンアントニオで主催する研修会に3月1日~5日にかけて参加してきました。世界23カ国からフードバンク代表者が集まっての研修の模様は大竹が後日皆さまに報告しますので、楽しみにしていてください。
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