2007.10.17
受給者紹介 カナン・キリスト教会
日雇い労働者の街の「おいしい」教会
日雇い労働者の街として知られ、簡易宿泊所が立ち並ぶ横浜市中区の寿地区。生活保護を受けるさまざま障害者や高齢者、そして野宿者も多く暮らすこの街に、カナン・キリスト教会はある。ワンルームマンション四部屋をつなげてつくった、ビルの中の教会だ。
目指しているのは「うれしい、楽しい、おいしい教会」と佐藤敏(さとう・さとし)牧師は語る。日曜の礼拝後は出席者にカレーライスを、土曜早朝と木曜昼の路傍伝道集会の後には弁当や給食を、また早朝祈会や夜の伝道集会ごとに出席者におやつを配っている。
「セカンドハーベスト・ジャパン(2HJ)からの食材がなければ、こうした活動はできません。いつも遠くから配達してくださることに感謝の気持ちでいっぱいです」と、佐藤牧師の妻、徐蓮熙(そ・よんひ)牧師は話す。2HJから月に2回、野菜やパン、缶詰などが、また、食品提供企業の一つ、ニチレイからは毎週、冷凍食品が届く。経済的に余裕のない人たちが多い地域だけに、教会に献金できる人は少ない。無料で提供される食品は本当に助かるそうだ。「配達がある日は、今日は何が届くかなあ、って朝からみんな楽しみに待っているんです」と徐牧師は言う。
もともとは徐牧師と日本にいる韓国人信徒らが、この地域の人々に伝道するために設立した教会。いまでは入り口の看板にある通り、「生きがいを求め夢を見る方、なんだかわからない方、働き疲れた方、傷つきキレちまった方、どんな方も」歓迎している。仕事も、お金も、行き場もなくした人、人生の大半を刑務所で過ごしてきた人もここにやって来る。
「最初は百の説教よりも一つのごはんが目当てで来る人たちがほとんどです。でも、そうして通ってくるうちに傷ついた魂が癒され、救われていく兄弟、姉妹たちを何人も見てきました」と佐藤牧師。路上生活を送っていた人が教会のスタッフになり、やがて「献金をしたいから」と働き始めた例もあるという。
2年前には横浜の地下道で段ボール生活を送っていた夫婦を救い出した。女性は妊娠しており、母子ともに危険な状態にあったが、去年7月、無事女の子を出産。カナン教会にちなんで夏菜子(かなこ)と名づけられた赤ちゃんは、大勢の人たちに見守られてすくすくと育っている。「教会の宝です」と徐牧師。いま夏菜子ちゃん一家3人は同教会で暮らし、野宿者だった父親は市の清掃局の準職員になった。
カナン教会はこの秋から2HJのパントリー(食料倉庫)としての役割も担うことになった。食べものに困り、緊急の食料援助を必要としている人が教会にやって来れば、2HJから預かった食料一式(缶詰や乾麺などの保存食品)を手渡す、地域の窓口になるという。こうした拠点を各地につくりたい、と2HJは考えている。
「精神的にも物質的にも、困っている人を助けるのが教会の役目です。喜んで地域と2HJの仲立ちをしたい」と佐藤牧師は話している。
文:大原悦子 写真・和田裕介
Link to News story »2007.08.01
女性や子どもたちに食料を届けています
セカンドハーベストジャパン(以下2HJ)が食べ物を届けている施設の一つに、女性と子どものための民間シェルター(避難所)があります。シェルターはドメスティック・ヴァイオレンス(DV)や人身売買の被害を受けた女性たち、さまざまな事情からホームレスとなってしまった女性たちを受けいれています。執拗な夫らが追跡してくる恐れがあるため、住所や名前など詳しい情報は明らかにしていません。
ここでの食事は三食とも、料理上手な寮母さんが作っています。二週間に一回、2HJから食品が届くと、その食材にあわせた献立が考えられます。たとえ同じ野菜が大量に届いても、漬け物にするなどして、どの材料も無駄なく使い切るそうです。
「日用的な食品は買っていますが、2HJのおかげで献立にバリエーションができるんです」とスタッフはいいます。また、これらの施設には行政からの支援がほとんどなく、おもに会員からの寄付で運営しているため、「月に数万円、食費を節約できるのはほんとうに助かります。その分、赤ちゃんのミルクやオムツ代など、ほかの支出にあてることができるのです。」
食べ物は物理的な面だけでなく、精神的な面でも入所者の力になっています。夫から暴力を受けたり、厳しく生活を規制されてきた人たち。あるいは、食費を切りつめて好きなものを食べることができなかった人たち。たくさんの食事を前に「自分で選んで、好きなだけ食べていいのよ」といわれることは、彼女たちにとっては何よりもうれしいことだ、といいます。
アパートを見つけ、自立に向けて歩みだしたシェルターの“卒業生”たちには、希望すれば2HJのハーベストパントリー(宅配便で届けられる緊急食料援助)が届けられます。ほとんどの人が生活保護を受けながらの生活を送っているので、育ち盛りの子どもを抱えたシングルマザーにとっては、食料は「いくらあってもありがたいもの」なのです。
また、表参道のレストラン「フジママズ」は毎週一回、入所者たちのためにお弁当を無償でつくっています。2HJのボランティアがそのお弁当をピックアップし、お正月だろうが、お盆だろうが、欠かさず届けています。「今日はどんなお弁当が届くのか」みんな楽しみに待っているそうです。
食べ物は、ただ食欲を満たすものではありません。これまでつらい思いをしてきた女性たちを、ときになぐさめ、ときに「尊厳」や「自立」を取り戻すささやかなあと押しになっていることを、スタッフの話から感じました。
記事:大原悦子
写真:パトリシア・デッカー
2007.04.07
ハーベストパントリーを支えるフードドライブ
セカンド・ハーベスト・ジャパン(2HJ)は、ハーベスト・パントリーという支援プログラムで47人の子供を含む100人近くの方に食料を毎週送っています。この、貧しい人たちに必要とされている、保存の利く食料品の大部分の供給源となっているのが、学校や企業それにさまざまな団体が行っているフードドライブです。日本では65万人以上の人が毎日の食料を手にするのに困っている現状を考えると、フードドライブは、その規模の大小にかかわらず、この貧困を緩和するために重要な役割を果たしています。
東京韓国学校で英語教師を務めるマーク・バレンズさんは、1年生から6年生までの生徒と一緒にフードドライブの計画に携わりました。この5日間にわたるフードドライブには約450人の生徒が参加しました。生徒がやる気を起こし、熱意を持てるように、先生たちはある目標を掲げたのです。それは、もし生徒が500品以上集めることができたら、先生たちが生徒みんなの前で日本語の歌を歌い、逆に、500品に達しなかったら、6年生が英語の歌を舞台上で歌う、というものでした。
結果は、1,100品を超える食料を集めることができ、バレンズさんは「このフードドライブに従事した人はみな、大成功だったと評価しています」と報告してくれました。「食料を寄付することで、困っている人の生活に何か変化を生じさせることができるということに生徒は気づいたと思いますし、それに、豊かな先進国にもお腹をすかしたまま毎晩床に就かなければならに人が多くいることも学んだと思います。」また、手伝ってくれた先生方も、毎日の食べ物に困っている人がいること、困っている人を助けることの大切さを感じたと話し合っていました。

フードドライはその多くが世界食糧デー(10月16日)に合わせて行われています。この日は、飢餓および貧困の問題を世界中の人にもっと知ってもらうために国連食糧農業機関が1979年に定めたものです。2HJのためにフードドライブを行い、同時に日本における飢餓の状況を知ってもらうには、世界食糧デーはまさに相応しい機会でしょう。
しかし、貧困の問題は一年を通して起こっています。フードドライブを企画するのに秋まで待つ必要はないのです。
(フードドライブを企画する上でのヒントや注意事項をお知らせします。以下をご覧になり、2HJに連絡ください。)
フードドライブを集めるにあたっては、ハーベストパントリーのコーディネーター、ミッシェル・ライアン(michelle@2hj.org)にご連絡ください。
フードドライブを企画する上での注意事項 [PDF]
文章:ミッシェル・ライアン
Link to News story »2006.12.31
2HJのハーベストパントリーが家族や個人に食料を届けています
仮にあなたが、まだ6か月にみたない赤ちゃんを含む5人の子供の母親だとします。収入は、夫が1か月に稼ぐ20万円だけです。家計のやり繰りがどんなものになるか想像できますか。まず、給料の3分の1は家賃に消えてしまいます。さらに、光熱費を毎月払わなければなりません。その上、3歳の子供と赤ちゃんのために粉ミルクとおむつを買う必要があります。このほかにも、上の3人の子供の給食費や文房具代それに洋服代も必要です。たとえこれらの必需品を賄えたとしても、子供が病気にでもなれば、医療費を工面しなければなりません。家計を少しでも助けるためにパートの仕事を探そうにも、子供の面倒をみなければならないので、在宅でできる仕事に限られてしまいます。夫が稼いでくれるお金が文字通り家族の命綱なのです。
夫はまじめに働いてくれます。しかし、日雇い労働が多いので収入は安定しません。天気が悪ければ仕事はありませんし、夫が怪我でもすれば、それこそ入ってくるお金はなくなってしまいます。家族が食べていけるかどうかが、夫が怪我をしないですむことにかかっており、また、天候にさえ左右されるとなれば、四六時中心配しながら生活しなければなりません。
じつは、この例はライザ・バイタン* の家族のことです。2HJの最も新しいハーベスト・パントリー プログラムを通じて現在支援している40世帯(合計で週に約100人)のうちの1世帯です。「子供からおもちゃを買ってとねだられたら、もうちょっと待ってねと諭します」とライザは言います。「子供たちとの約束は決して破りません。でも、おもちゃを買うお金を貯めるには時間がかかります。毎月ぎりぎりの生活を余儀なくされていますから。」北米では、バイタンのような状況にいる家族はフード・バンクから緊急の食料援助を受けることができます。一方、日本には食料を十分に得ることができない人が65万人** いるにもかかわらず、緊急の食料援助ができる体制は、2HJがハーベスト・パントリーを始めるまでまったくありませんでした。
難民支援協会(JAR)のような団体が、食料を必要としている人の名前や住所および家族構成などを2HJに連絡してきます。それを受けて、2HJでは、食料を受け取る家族の宗教や食べ物の好みや食事制限などに応じて食料を箱詰めします。支援を始めてから3か月経った時点で、支援を受ける側のニーズに合っているかどうかを再確認します。梱包された食料は宅配便を使って定期的に送られます。「宅配便業者と非常に良い契約を結んでいて、支援先の個人や家族に食料を送るにはこれは何よりも効率的な方法なんです」と、ハーベスト・パントリーのコーディネーターであるミッシェル・ライアンは言います。20kgまでの食料なら500円で送ることができます。さらに、配達時間帯を指定できるので、受け取る人に都合の良い時間帯に配達してくれます。

「毎週(2HJから)送られてくる食料のおかげで月に約15,000円節約できます。」とライザは言います。それに、普段は食べることのできない新鮮な野菜や果物や肉などを食べることができるのです。ライザによると、2HJから荷物が届くと、子供たちは大喜びするそうです。ライザのような状況にいながら十分な食料を手にできない人はまだまだたくさんいます。そのような人たちが必要なときに安全な食料を社会的に認容できる方法で手にできるように、ハーベスト・パントリーはこれからも成長し続けていくことが期待されます。
* プライバシー保護のため仮名を使用しています。
** セカンド・ハーベスト・ジャパンの調査に基づいた数値です。
文章:ライアン・フェイ
写真:和田裕介
2006.10.08
クローズアップ-2HJとJARの協力により日本にいる難民が食料を受け取って
セカンド ハーベスト ジャパン(2HJ)は、大きな組織ネットワークを通して、強く必要とされる食べ物を必要としている人びとへ届けています。孤児院や老人施設、そしてホームレスの人びとに食べ物が届けられるのはよく聞きますが、他の国々から日本へ難民としてやってくる人びとのことはあまり知られていません。彼らとその家族は、日本難民支援協会(JAR)を通じ2HJから緊急に必要な食料を受け取っています。
そこで2HJ事務局長の和田裕介が、難民はどのような人たちで、なぜ私たちの助けを必要とし、さらに、私たちがどのように彼らを助けることができるかを知るために、JARの増山聖子さんにお話しを伺いました。国連難民の地位に関する条約(難民条約)において難民とされる人びとは、政治、人種、宗教などの違いによって自国で迫害を受けてきた人たちです。ソーシャル ワーカーである増山さんによると、このような理由で日本に逃れてきた難民の大多数が30-40代の男性で、その多くは自国では指導者であった人たちだそうです。例にあげると、「民主化運動にかかわっていたビルマ人や、イスラム教からキリスト教へ改宗したイラン人」などがいると増山さんは言います。女性や家族の難民も増加していますが、自国から逃れる必要があるような彼らの状況では、しばしば家族を後に残し脱出するほかにすべがありません。
法的な理由や精神的トラウマのために働くことが出来ず、日本に住む平均的な難民の一ヶ月あたり10万円で生活をしています。健康保険もなく、支援してくれる人脈もほとんどありません。「政治的または宗教的な理由で自国を逃れてきているので、難民たちの中には、同じ国から来た人たちにも会うこともできない」人たちがいるとのことです。この孤立に重なり、飢えはこの様な人たちにはさらに深刻な問題です。彼らがまず必要なものは、米、肉、野菜、油といったものです。セカンドハーベストジャパンでは、長期保存ができるもの(肉や野菜は缶詰であること)に限り、これらの食料の寄付を受け付けています。
2HJは、JARをとおして問い合わせのあった難民に対して、受取り人の家に2HJボランティアが直接届けるホーム バウンド配達と、小包を宅配便で送る2つの方法で食料を届けます。ホーム bバウンド配達のボランティアをしたい方がいれば、歓迎します。また、宅配サービスはコスト面でも非常に効率がよいため、この活動を拡大する予定です。2000円の募金で、次の食事がどうなるかわからないでいる4家族の食卓に必要な食べ物を届けることが出来ます。
文章:パトリシア・デッカー / 和田裕介
写真:JAR
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